chapt.3



 その島でライブハウスを見つけた瞬間、息が止まりそうになった。はしゃぐ唯吹ちゃんを横目に、私はどうか、私の才能を想起させる鍵盤楽器の類がありませんようにと考える。左の手の甲に触れた。物心ついたときから、寝食以外の時間をピアノに費やしてきた私は、そう言えばこんなにも鍵盤に触れずに居たのは初めてかもしれないと気が付く。ちりちりと痛むこめかみを抑えても、あの声は脳に張り付いたように剥がれない。「また来てもいいかな」拒絶するように、首を振る。


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