chapt.2 全てを終えて地上に戻ったら、夜が明けていた。朝焼けで赤くなる東の空は殺された彼の身体から流れた血の色に似ている。まだひんやりとした南国の空気は私の頬を慰めるように撫でるのに、どうして私は泣くことができないのだろう。握りしめた手の平に食い込んだ爪では、一筋の傷すら作れない。こんな時なのに私はあの人を思い出す。両手を広げて笑ったあの人は、どうしてか、神様のようにも見えた。 PREV BACK NEXT