chapt.1 よろしくお願いします。そう私が口にした瞬間、あなたは瞬きを一つだけした。まじまじと顔を見つめられて泣きたくなったのは、どうしてか。「ねえ、君は誰にでも敬語を使うの?」その言葉にそう言うわけではないと首を振った。あなたが浮かべた笑顔が、何故だか泣き出す寸前のように見えたのだ。ああ、もう泣かないでほしい。だけど、「もう」ってなんだろう。私はまだこの人の名前も知りはしないのに。 PREV BACK NEXT