chapt.-2



 見送り続けたその背中は既に私の網膜に焼き付いて剥がれない。肉付きの悪い彼の背は、肩甲骨がやけに目立った。私はそれに触れてみたかった。五線譜の裏に彼の骨を描いてみる。毎日見ているものなのに、どうして絵にしようと思うと難しいのだろう。その時扉の奥に人の気配を感じて、慌てて紙を裏返した。並んだ音符に私は細く長い息を吐く。「木曜の午後は地獄」さっき気晴らしに作ったのはそんな曲名だったけれど、あなたが来てくれるなら、もう少し、明るいものに変えよう。


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